子育ては、子供を育てるけど自分も育ててもらっている、とよく言われる。
私は介護も同じだと思っていて、介護しているけど、介護をさせてもらって、自分では気づかない自分の短所を教えてもらえたり、長所を伸ばしてくれたり。
こういう言い方の方が伝わりやすいと気づいたり、いろんなことに気づかせてもらえる仕事だと思う。
車いすから立って、コケる人がいたとする。
「立ったら危ないですよ!」
という職員がいたり、
「どうしました?」
と話を聞こうとする職員がいる。
認知症の人でも、そうでない人でも後者の方が言い方も優しいし
何より、「この人に話を聞いてもらおう」とか、「あのね・・・」と話しを切り出しやすかったりする。
言葉一つを選ぶだけで相手の受け取り方や心の扉を開くことが出来たりする。
介護だけじゃなくて日常でも同じことだと思うけど、
介護って特に大切だと思う。
名前は憶えていなくても、「あ、この人はこの前きつく言った人だ」と
顔や雰囲気で覚えていることが多い。
働き出して2年目の頃、ある高齢の女性に一度言葉遣いでつまづいてしまい、その後の信頼回復までに相当時間がかかったこともある。
自分が伝えたいことと、相手がしたかったことをうまく重ねることが出来なくて、自分の言い方がよくなかった、と今でもよく覚えている。
その女性は4人部屋の洗面台で衣類を洗っていた。
床が水でビシャビシャに濡れており、他の利用者が滑ってコケてしまうかもと思い、
「お部屋で洗うのは遠慮してもらっています、床が濡れて他の方が滑るかもしれませんし」
と話した。
すると、
「私は今までこうやって家でも洗ってきたの!なんでだめなの!」と怒り出してしまった。
その時先輩から、
「あなたが伝えたことは間違いではないけど、女性の性格だったり、なんで洗いたかったのか、家族に洗濯を頼みづらかったのか、認知症がない方なら気兼ねせず洗えるような場所を提供する等するとよかったんじゃない?」
と言われた。
自分の伝えたいことだけを言い、相手の想いを引き出そうと考えていなかったからこうなってしまった、と反省した出来事だった。
とっさに言葉を選ぶって難しいけど、それができる職員は介護全般においてもスキルが高い人だと思う。
私もそんな職員になれるよう、家から練習していこう。
子供に怒ってバッカなもんで・・・